広告ブロック機能を持ったブラウザ拡張機能が「Adblock Plus」です。
もはやPCでネットを閲覧する際には必須と言える存在となったわけですが、一度入れてしまうとなかなか見直す機会がない拡張機能だったりします。多くの人はネットでオススメされていた拡張機能をそのまま使い続けているのではないでしょうか。
ですが効果的には同じでも別の拡張機能を利用してみると大きな違いがあることが分かりました。快適さを手にする一方で、損をしていたなんてことにならないようにしましょう。
広告ブロック機能といえば「Adblock」か「Adblock Plus」
一昔前、ブラウザ拡張機能で広告ブロック機能といえば「Adblock」と「Adblock Plus」の二強時代でした。
機能的にはどちらも同じですが、「Adblock」は初代と現在で開発者が異なっていることもあり、後発である「Adblock Plus」については開発者について変更がなかったことから、Adblock Plusを利用していました。
広告ブロック機能にも不満はなかった
こういった記事も出ていますが「Adblock Plus」の広告ブロック機能はかなり強力で、広告が消えないということはほぼありません。
そもそもAdblock Plusなら消えるとかBraveなら消えるとかそういう話ではなく、どういうルールに基づいてフィルタリングしているかの違いによるものです。必要なら自分で設定することもできます。
紹介した記事の中で消えていない広告、たぶんGoogleのアドセンスの広告だと思いますが、広告ブロックを使うとまず弾かれるので記事そのものが少し怪しい気もします。おそらくフィルター機能について誤解されているのではないでしょうか。
ではなぜやめたのか
「Adblock Plus」をやめた理由は頻繁に寄付を募ってくるから。これだけです。
最近はアップデートが入る度に寄付をお願いするタブが開かれ、地味にストレスを感じていました。広告をブロックするためのツールが一番嫌われるタイプの広告の出し方をしてくるわけです。
それに加えて「Adblock Plus」は以前よりCPUやメモリへの負荷の高さが指摘されています。Chrome自体がメモリを大量に消費する上にAdblock Plusを導入することでさらに拍車が掛かるため、それを改善するために別の広告ブロックツールを開発した人もいるくらいです。
有名だから大手だからといった理由で選ぶのはやめておいた方がいいかもしれません。
乗り換えてみて分かったこと
別の広告ブロックツールに乗り換えてみて分かったのは「フィルタリング速度の違い」です。
Adblock Plusは有名ですが、CPU負荷が高い割にフィルタリング速度はそれほど速くありません。もちろんこれは設定したフィルターの数や種類にも左右されるわけですが、他の拡張機能と同様の設定にした場合であっても明確に感じられるほど速度に差があります。
AdGuard 広告ブロッカー
そこで乗り換えてみたのがこちら。以前Androidスマホから広告を消し去るときにも使った「AdGuard」です。
「AdGuard」独自のフィルターに加え、「Adblock」「EasyList」「Fanboy’s」など様々なフィルターをオンオフで簡単に設定できるので大抵の広告はこれだけで消し去ることができます。
UIが見やすい上に設定もしやすいので、誰にとっても使いやすい広告ブロックツールだと思います。
「Adblock Plus」との比較で一点だけ惜しい所があるとすれば、表示しているページに対してはドメイン単位でのブロックが基本となるため、特定の子ページだけ広告を許可することが難しい点でしょうか。
動作速度はAdblock Plusとそこまで大きく違いませんが、読み込みが少しだけ早く終わるので体感的には早くなったように感じます。CPU負荷やメモリ使用量もAdGuardの方が少ないです。
uBlock Origin
もうひとつオススメしたいのが「uBlock Origin」です。
こちらは高効率を謳っておりCPUやメモリへの負荷が軽いことで有名です。UIが簡素なので人によっては見づらかったり使いづらく感じたりするかもしれませんが軽さはピカイチです。
ページの表示の早さでいえば「Adblock Plus」だけでなく「AdGuard」よりも高速なため、とにかく軽く・速くを求める人にはこちらがいいかもしれません。
速度を計測してみた
体感速度を基準に速い遅いと言われても、何の証拠もなしでは分からないと思いますので実験してみたいと思います。
使用環境は次の通り
- OS:Windows10 Home 22H2
- CPU:Ryzen 7 1700X
- RAM:32GB
- 使用ブラウザ:Vivaldi
同一サイトにおけるページの読み込み時間の平均値
こちらが特定のサイトをキャッシュ無効にした状態で5回読み込み直した際の平均時間です。
DOM | 読み込み | 終了 | フィルター数 | |
---|---|---|---|---|
Adblock Plus | 2.40 | 3.20 | 10.36 | 6個 |
AdGuard | 2.46 | 3.29 | 10.60 | 19個 |
uBlock Origin | 1.79 | 2.58 | 9.59 | 14個 |
※キャッシュ無効・5回計測
結果はuBlock Originの圧勝でした。読み込みにかかる時間では0.6秒もの差が生まれていました。
0.6秒と言われるとあっという間かもしれませんが、ページの読み込みでの差は体感できるほどに大きいです。ページを開くたびにこの差が生まれると仮定すれば、100ページ開く頃には6秒の差ができることになり積もり積もって大きくなっていきます。小さな差ではありますが無視できない差です。
一方で「Adblock Plus」と「AdGuard」に大きな差はなく、むしろ表示が完了するまでの時間ではAdGuardの方が若干遅くなっています。しかし、これは設定したフィルター数が異なっているためで、実際には2~3倍ほど多く処理を実行しているにもかかわらず、掛かった時間は同じなのでAdGuardの方が効率がよいと言えるでしょう。
推測だけでは信じられないと思いますので、条件を揃えた状態で計測し直してみたいと思います。
同一サイト・同一フィルターにおけるページの読み込み時間の平均値
使用フィルター
- ABP filters
- Adblock Warning Removal List
- EasyList
- EasyPrivacy
- I don’t care about cookies
DOM | 読み込み | 終了 | フィルター数 | |
---|---|---|---|---|
Adblock Plus | 2.37 | 2.92 | 10.48 | 5個 |
AdGuard | 2.21 | 2.51 | 10.19 | 5個 |
キャッシュ無効・5回計測
同一条件で計測し直してみるとやはりAdGuardの方が早く表示できることが分かりました。uBlock Originほどの差ではありませんが、表示までには0.4秒ほどの差があり、こちらも十分に体感できる違いです。
また、同一条件に揃えた場合でもAdGuardの方がCPU・メモリの使用量が少ないので、特にこだわりがなければAdGuardを使うのがよさそうです。
まとめ
僕も計測するまでは「なんとなく早い」程度に思っていたのですが圧倒的な差でした。この表示速度の違いは長く使えば使うほどに大きな差となっていきますので乗り換えてみるのもいいと思います。
拡張機能は一度入れてしまうと見直す機会がなかなかありませんが、広告ブロックツールだけは見直しても損がないと思いますのでこの機会にいかがでしょうか。