ある日ふと、Crystal Disk Infoを起動したら「注意(0%)」の文字が目に飛び込んできました。2018年6月に購入したWDのNVMe SSD「WDC WDS512G1X0C-00ENX0」が、ついに寿命を迎えたようです。
「0%」と聞くと即死を想像するかもしれませんが、体感としてはなにも変わっていません。ならば、「健康状態0%」とは実際なんなのか、このまま使い続けたらどうなるのか、自分の目で確かめてみることにしました。
WDC WDS512G1X0Cについて
正式名称は「WD Black PCIe SSD」。2017年頃に登場したWestern Digital初のコンシューマー向けNVMe SSDです。「NVMe」という表記がまだ一般的でなかった時代に、PCIeという接続方式を押し出して販売されていました。いま振り返ってみると、NVMe SSD黎明期の貴重な製品かもしれません。
| スペック | |
|---|---|
| インターフェース | PCIe 3.0 x4 / NVMe 1.2 |
| 最大読込、書込 | 2050 MB/s、800 MB/s |
| 公称TBW(耐久値) | 160 TBW |
| ランダム読込(4KB QD32) | 170,000 IOPS |
| ランダム書込(4KB QD32) | 134,000 IOPS |
当時の記事によれば、「Western Digital初のコンシューマー向けNVMe SSD」とのこと。

「NVMe SSD」の名称が使われるようになったのはこの次の製品からのようです。

現在、本製品はすでにサポート終了済みです。
スペックシート(https://products.wdc.com/library/SpecSheet/JPN/2879-800086.pdf)
7年9ヶ月で何が起きたか
Crystal Disk Infoで確認した実際のデータがこちらです。

書込量239TBは、公称TBW(160TB)を1.5倍近く上回っています。1日あたりに換算すると約84.5GBの書き込みです。PCをほぼつけっぱなしにしており、仮想メモリとしてもガンガン使っていたことが影響しているのかもしれません。
ちなみにCrystal Disk Infoの健康度は「100 − 使用率」で算出されており、使用率が100を超えた時点で「注意(0%)」に切り替わる仕様です。内部では255まで値が存在するため、0%になったからといってすぐ壊れるわけではありません。
「0%」は死亡宣告ではない
そもそも、SSDの「寿命」とはなんでしょうか。
NANDフラッシュには書き換え可能回数の上限があります。TBW(総書き込み量)はその上限に対して保守的に設定されたメーカー保証値であり、超えたからといって即壊れる数字ではありません。TBW超過後も問題なく稼働し続けているこのSSDが、その証拠です。
NANDの特性上、SSDは寿命が尽きると「書き込み不可・読み取りのみ可能」な状態に移行するよう設計されており、データを保護したまま、静かに役目を終える構造になっています。
実際の健康状態を確認するには、代替処理済みセクタ数(Reallocated Sectors)を見るのが現実的です。この値が増加していなければ、物理的なセル破損は起きていない可能性が高いです。SMART情報でこの数値を定期的に確認しておくと安心でしょう。
次の候補:KIOXIA EXCERIA BASIC 1TB
とはいえ、さすがにそろそろ後継を探したいところです。目をつけているのがKIOXIAのEXCERIA BASICです。
| スペック | |
|---|---|
| インターフェース | PCIe Gen4 x4 / NVMe 2.0d |
| 最大読込、書込 | 7,200MB/s、6,600 MB/s |
| TBW(耐久値) | 300 TBW |
| ランダム読込(4KB QD32) | 1,000,000 IOPS |
| ランダム書込(4KB QD32) | 1,150,000 IOPS |
| 保証 | 5年 |
Gen4規格なので読込速度は現行の約3.5倍。ただし手持ちのマザーボードはGen3なので、最大速度は3,500MB/sに抑えられます。それでもIOPSはリードで約6倍、ライトで約9倍になる計算です。5年の保証がついていますが、7年9ヶ月で約240TBだったと考えると、通常使用でTBW使い切るとは考えづらく、保証外になるケースは多くないでしょう。
WDC WDS512G1X0CがNVMe黎明期の製品ということもあり、どの製品を買ってもスペックは今より良くなるのですが、使用中はずっとデータを預けることになるので、信頼のおけるメーカー品ということで候補にしています。
SSD初期の「寿命問題」は杞憂
WD Black PCIe SSD(512GB)は、購入から約7年9ヶ月・公称TBWの1.5倍を書き込んだいまも現役で動いています。Crystal Disk Infoが「0%」を示しても、PCは普通に起動して、通常通り使えています。SSD黎明期には「NANDはすぐ壊れる」という懸念がありましたが、少なくとも自分の使用環境では杞憂に終わったようです。
もちろん、日常使いなら新しい規格のほうが快適なのは間違いありません。ただ精神衛生上の観点からも、古くなってきたら新しいものへ移行し、古いものを別用途で再活用するというサイクルが現実的な付き合い方だと思います。健康状態0%のSSDも、バックアップ用ドライブとしてなら、まだしばらく働いてもらえるはずです。


