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【B350】Ryzen 1700Xからの乗り換えでRyzen 5600Gを選んだ理由

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毎年、IntelやAMDなど半導体メーカーから新製品が発表されています。以前のモデルよりも処理速度が速くなり、電力効率が改善されるなど、半導体の進化を感じられ、その性能の向上を体験してみたくなる瞬間でもあります。

しかし、PCを熟知している人たちが思っているほど、PCの構成変更というのは一般ユーザーにとってはあまり身近ではありません。発表後すぐに新製品を使って構成を変更しているのは一部の自作ユーザーくらいでしょうか。

特に、業務で使用されているPCでは性能よりも安定性が求められるため、CPU換装によるリスクが、処理速度の速さや省電力性により得られるメリットを上回るために更新を見送る場合も多いです。

今回、構成を変更するPCに使用されている「Ryzen 1700X」は発売からすでに7年ほど経っており、Windows11へのアップデートや、新製品の登場による相対的な性能低下などの問題を抱え始めています。

業務に支障をきたさないよう、できる限り環境を維持する形でアップデートをしようとした結果、躓きましたので記事にしようと思います。

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Ryzen 1700XからRyzen 5600Gに

現在のPCスペック

今回変更するPC構成は以下の通りです。

パーツ型番
CPUAMD Ryzen7 1700X
RAMCORSAIR VENGEANCE LPX DDR4-2666MHz
GPUSAPPHIRE NITRO+ Radeon RX 580 8GB GDDR5
MotherBoardASUS B350-F GAMING

2017年の構成としては一般的なものです。マイニングブームなどでグラボが値上がりしていた時期だったと思いますが、現在よりも円高(1ドル 107円~117円、平均112.16円)であったため、各パーツの価格はそれほど高くありませんでした。

Ryzen5 5600G

換装条件を「Ryzen7 1700Xと同等性能かつ消費電力が少ないもの」にしたところRyzen5 5600Gがヒットしました。同等性能ですので、マルチコアで見ると性能はあまり向上していませんが、シングルコア性能は大幅に上昇しています。

シングル1700X5600G性能比
Cinebench R20344574166%
Cinebench R239811421144%
Geekbench 58991507167%
Geekbench 611401896166%
マルチ1700X5600G性能比
Cinebench R2033364479134%
Cinebench R23880510202115%
Geekbench 560347612126%
Geekbench 657847965137%

引用元:[cpu-monkey]

Ryzen 5600Gも2021年4月13日発売のCPUなので、最新CPUほどの高いシングルスレッド性能はありませんが、換装後はTDPが95Wから65Wに下がり、電力効率が大幅に改善されます。8コア16スレッドを95Wで運用したスコアを、6コア12スレッドかつ65Wで実現しているのですから、4年という歳月は大きいですね。

なぜ5600Xではないのか?

性能を重視するのであれば「Ryzen 5600G」ではなく「Ryzen 5600X」を選ぶのが一般的です。各ベンチマークソフトでも5600Xの方が10%ほどスコアが高くなる傾向にあります。しかし、今回選ばなかったのは変更を最小限に抑えたことが関係しています。

B350がPCIe4.0に非対応

「5600X」ではグラボやストレージの接続でPCIe4.0による高速接続が可能です。しかし、現在使用しているB350マザーボードではPCIe3.0まで対応となっており、5600Xの性能を発揮させることができません。

ECCメモリは使わない

「5600X」ではエラーを検出・訂正できるメモリがECCメモリを使用できますが、一般的なPCユーザーは使っていないと思います。今回の環境もECCメモリを使用していないので必要ありませんでした。

内蔵グラフィックの有無

「5600X」と「5600G」の一番大きな違いが内蔵グラフィックがチップに内蔵されているかどうかです。性能を考えれば5600Xには敵いませんが、将来的に自宅サーバーやサブPCとして運用することまで考慮すると、選択肢に5600Gが入ってくるはずです。

グラフィックボードを使用した場合はアイドル時でも30Wほど消費する一方、内蔵グラフィックであれば数Wの消費電力で済みます。大きな差ではありませんが、長時間電源が入った状態ではこの差が大きくなっていくので、将来的な運用まで見据えると内蔵グラフィックはあるといいかもしれません。

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実際に変更してみる

ここからは実際の構成変更とその際に生じたトラブルです。ベンチマークソフトを走らせてスコアを取得するなどの性能検証はしていませんので、興味を失った方はブラウザバック推奨です。

構成変更

今回は最小限の構成変更で性能向上を図るため、変更するのはCPUのみ。「Ryzen7 1700X」から「Ryzen5 5600G」へ変更します。BIOSはRyzen 5000シリーズに対応した6203を使用します。

構成を変更する前の時点で適用済みで、Windows10をインストールして運用していますが問題はありません。

ブートドライブが表示されない

CPUを換装して、電源を入れてみたところUEFI BIOSの画面は表示されましたが、肝心のブートドライブが表示されないという不具合に直面。電源を入れ直すと10回に1回くらいは出てくるのですが、再起動時に消えてしまうなど実用できるレベルではありませんでした。

BIOS更新

6203から6063へ。最新BIOSではない上にベータ版ということで不安だったのですが、こちらはあっさりブートドライブが表示され、一切問題なく5600Gへ変更完了。6203とは何だったんだ…。

挙動の変更

普段、業務に使用しているPCなので問題が起きたら困ると思っていたのですが、BIOSでの問題以外は特にありません。最大クロックが上がったこと、シングル性能が向上したことでソフトの立ち上がりが早くなったこと、消費電力が下がったこと、など基本的には半導体進化の恩恵を感じることばかりでした。

発熱

少し気になったのはCPUの発熱。1700Xでは複数ソフトを立ち上げた状態でも、アイドル時は温度が落ち着いていて、ファンが回るようなことはなかったのですが、5600Gでは50℃を越える場面が目立ちます。CPUは20Wしか使っていないのにこんなに上がるのは不思議。

調べたところ、バックグラウンドアプリなどが多く立ち上がっていると温度が上がりやすいとのこと。時間があればクリーンインストールで対処したいのですが、バックアップや再設定に時間が割けないのでこれは後ほど。

基本の電源設定を省電力にすると落ち着くので、アイドル時に電源プランを自動で切り替えてくれる「AutoPowerOptionsOK」や、特定のソフト使用時のみパフォーマンスを上げてくれる「Full Throttle Override」で動的に変更してもらうことで解決。

スレッド数設定

一部のソフトでは処理するスレッド数を設定して、マルチスレッド処理を行うことができます。画像の一括変換では「Ralpha Image Resizer」を使用しているのですが、1700Xでは8コア16スレッドだったので、ヘッドルームを確保することも考えて、12スレッドを使用する設定にしていました。

一方、5600Gは6コア12スレッドなので、使用スレッド数を8まで引き下げましたが、これではヘッドルームを確保できず、プチフリーズが発生。6スレッドまで引き下げることで解消することができました。

比較環境がないため「CPUの仕様か、BIOSの仕様か」は分かりませんが、各スレッドに割り当てられる1700Xとは異なり、5600Gでは各コアに割り当てて後は任せるスタイルが適しているようです。6スレッドを割り当てた場合でも、12スレッド全部が使用されています。

大抵のソフトは自動設定ですのでこのようなチューニングは必要ありませんが、ユーザー側で細かく設定できるソフトでのみ注意が必要かもしれませんね。

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まとめ

CPU交換後に一部でトラブルや挙動変更はありましたが、特に不具合という不具合はありませんでした。むしろ、性能向上の恩恵を感じる場面の方が多かったため、こんなことならもう少し早く交換してもよかったなと後悔しているところです。

現在は、RyzenがAM5へと移行したので、次はマザーボードごと交換になると思いますが、その場合は新しく自作で組むことになるでしょう。今回の更新作業を終えて、不安を抱えながら更新するくらいなら、新環境を用意してしまうのが一番安全かなと思います。

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