最近は何でも有線接続から無線接続へと変化してきていますね。インターネット接続はWi-Fiで、マウスやキーボードもBluetoothで。もちろんイヤホンやヘッドホンだってBluetooth接続。
そのような状況においてイヤホンは「完全ワイヤレス」と呼ばれる左右分離型のものが人気です。もうコードが引っかかったり絡まったりするストレスとは無縁の社会。
便利であることは間違いないのですが1つだけ気になるのが値段。有線接続のイヤホンと比べると、完全ワイヤレスでは低価格帯と呼ばれる帯域でも少し値が張ります。
Amazonの中で信用のできそうなメーカー品を見てみるとELECOMやXiaomi辺りですかね。この辺りでも2,000円台といった感じ。以前と比べれば安くなりましたが格安メーカーでこの価格です。有線であればSONY製のイヤホンもあるレベルです。
「高いお金を払うならハズレは引きたくない」。これが一般的な人間の心理かと思いますので、今回は手が届きやすい値段の完全ワイヤレスイヤホン、Anker「Soundcore Liberty Neo」についてレビューしてみたいと思います。
安いけど完全ワイヤレス
音響機材に関しては値段が物を言う世界なので「安かろう悪かろう」が前提だったりします。もっと言えば「安ければ音が悪い、値段が高ければ音がいい」みたいな簡単な基準があるのです。
この記事を読んでいる方がどこのメーカーの音を好んでいるのかは分かりませんが、高価格帯の商品では有名なのはSONYのWF-1000XM4(36,500円)、BOSEのQuietComfort Earbuds(33,000円)、AppleのAirPods Pro(30,580円)あたりでしょうか。
で今回紹介するAnkerのSoundcore Liberty Neoは4,999円。左右分離型の完全ワイヤレスイヤホンでは低価格帯に入るかと思います。
確かに高級機種と比べると音の質は下がりますが、音自体はフラットな仕上がりでかなりいいです。むしろ、この価格帯を考えれば十分すぎるくらいではないでしょうか。
詳しくは後述しますが、超格安イヤホンにありがちなシャカシャカした薄い音は出ません。
不具合に遭遇したことはない
Amazonのレビューではなんだか色々書かれているようですが、接続から音楽鑑賞、充電に至るまで何一つ問題は起きていません。
接続ができなかったり、大音量のノイズが流れたりなんて噂もあるようですが僕としては信じられません。禁では他社製品を貶めるレビュー投稿の依頼なんかも流行っているそうなので、Amazonのレビューに書かれている内容もひとつではないかと思っています。
特に何も気にせず使える。裏を返せば「目立った特徴もなく普通」な所がこの製品の良い所ではないでしょうか。
故障や発火の心配は?
先述した通り今のところ不具合には遭遇していません。
僕も完全ワイヤレスイヤホンを購入するにあたっては、小さくともバッテリーを搭載した製品ですので、耳元での発火したり、音量レベルの高いノイズが出たりすると困ると考えていました。
だからこそモバイルバッテリーで実績のあるAnkerなら大丈夫かな、くらいの気持ちで手を出しています。今のところモバイルバッテリーもワイヤレスイヤホンでも故障や発火などは発生していません。
音はフラット
近年ではドライバーユニットを大型化させた低音重視のダイナミック型イヤホンが流行っているようですが、このLiberty Neoは低音から高音まで満遍なく出力されるフラットな音。裏を返せば目立った特徴もなく普通といった感じです。味付けされていない音を求めるならこれはアリ。
でもイコライザーを挟めば全音域にわたって自由に好みの音域を増すこともできるのでポテンシャルは十分。むしろチューニングがうまくいっていない、もしくはされていない印象を受けます。全体的に硬めの音ですので繊細な音を再現するのは苦手かもしれません。
音の粒は細かくない
SONYの「WF-1000XM4」やBOSEの「QuietComfort Earbuds」から出る音の粒が0.2mmくらいだとすると、Ankerの「Soundcore Liberty Neo」は1.0mmくらい。様々な音が滑らかに表現されるかというとそうでもありません。音像から空間の広さを感じ取れたりもしません。
完全ワイヤレスイヤホンでありながら5,000円を切る価格で販売されていることを考えれば、音質はかなりいい方で、スピーカーにこだわっていないスマホやタブレットよりは上。ハイエンド機と比べても決して悪いわけではありません。
最近ではSpotifyやApple Musicなどサブスクリプション型の音楽配信サービスを利用する機会も増えつつありますが、圧縮音源の再生においてはさほど困らないレベルかと思います。
イコライザー必須だけど…
音の好みの問題ならイコライザーを使用すればいいという話なのですが、実はこのLiberty NeoではAnkerの出している「Soundcore」アプリが使えません。なのでそこに搭載されているイコライザー機能も利用できないのです。
僕が使用しているPCはもちろん、Xperia XZ1も端末にイコライザー機能があるので調整ができますが、イコライザー機能がないスマートフォンでは音質が気になる方もいるかもしれません。
右が親機で左が子機
人によって利き耳が違うので好みが分かれると思いますが、右側の親機が接続されていないと左側からは音が出ません。必ず右耳に付ける必要はありませんが、使用時には右側のイヤホンが機器と接続されていることが必須となります。
イヤホンを使っての曲操作では「右側が次の曲、左側が前の曲」となっていますので、右が親機だと気分の乗らない曲が流れてきたときにスキップできますね。逆にもう一度同じ曲を聴きたいという場合には不便かもしれません。
また、利き耳が左という方はわざわざ右側のイヤホンも接続しなければいけないので多少使いづらさを感じるかと思います。しかしケースから出せば自然と接続されるので大した問題ではありません。ただ両方出せばいいだけなんです。ちなみに僕の利き耳は左です。
遅延は大きい
対応コーデックが「AAC/SBC」となっておりaptXなど低遅延コーデックの使用はできません。音楽や動画視聴程度では気になりませんが、ゲームでタップタイミングが分かる場合ではやはりズレがあります。
音がワンテンポ遅れてくることにストレスを感じる方はaptX LLなどの低遅延コーデック対応のワイヤレスイヤホンを使うか、優先でプレイするのがいいでしょう。
バッテリーの持ちはよい
連続して長時間音楽を聴くことはないのですが、今のところ使用中にバッテリーが切れたことはありません。イヤホン本体のみで5時間の再生が可能で、充電ケースまで含めれば最大20時間まで再生が可能となっています。
音楽を聴いたらこまめにケースに戻す僕にとってはイヤホン本体で5時間も使えれば十分です。
充電はmicroUSB Type-B
唯一と言えるイマイチポイントがこれ。充電端子がmicroUSBなのは正直使いづらいですね。僕が購入したのが遅かっただけでこの製品が発売された当初はmicroUSBが一般的だったのでしょうか。USB Type-Cが一般的となりつつある今、端子が違うのは使い勝手の悪さを感じます。
Soundcore Liberty Neo 2では色々改善されている
実はこのSoundcore Liberty Neo、後継機種となる「Soundcore Liberty Neo 2」が2021年5月25日に発売されています。先述したイマイチな点が一掃されるくらい進化しているようですのでちょっとご紹介。
イヤホン単体で連続10時間再生
5時間も聴ければ十分と言っていたのにそれが倍の10時間使えるように。充電ケースでの給電も含めると最大40時間とこれまた倍に。これなら1日使い続けても大丈夫。泊まりがけの出張なんかに使うのもよいのではないでしょうか。
モノラルモード搭載、片耳使用可
前機種では右側が親機となっていましたがSoundcore Liberty Neo 2では片耳ずつ使用することが可能に。左耳で聴くためにわざわざ右側もペアリングしなければならない手間が省けました
高音・低音の出力が強化
フラットな音ではありましたがポテンシャルは十分。イコライザーでガンガン出していくことも可能だったのに更にパワーアップ。そこまで強化されたらどう使ったらいいのか分かりません。
Soundcoreアプリが使用できるように
ワイヤレスイヤホンの様々な設定ができる「Soundcore」アプリが使用できるようになりました。これで端末にイコライザーの調整機能がなくても大丈夫。自分の好みの音を出すことができます。
イコライザーだけでなくタッチ操作のコマンドも選べるように
以前の機種はボタンを押すことで再生・停止。右側は次の曲、左側は前の曲。3秒長押しすれば電源ON・OFFといった感じで役割が決まっていました。
Soundcoreアプリを使用すればそれらの操作も変更することができます。ダブルタップや1秒間の長押しなど各アクションでどう操作するか決められるようになります。
HearIDは使えない
聞き取りやすい音域、聞き取りづらい音域をアプリに把握させることで自分にあったイコライザーセッティングを提案してもらえる機能です。残念ながら「Liberty Neo 2」では非対応となり使用できません。上位機種である 「Liberty 2 Pro」などで使用できる機能となっています。
充電がUSB Type-Cに
唯一のイマイチポイントであった充電端子が遂にUSB Type-Cに。以前はmicroUSB Type-Bで充電していましたが新機種ではUSB Type-Cでの充電が可能となります。多くのスマホがUSB-Cに対応している現状を考えると、同じ充電器で充電することができるので便利ですね。
コーデックは進化しなかった
対応コーデックは「AAC / SBC」となっていますので以前からある遅延は相変わらず残っているようです。多くの点で改善が図られた一方、この点だけが残念なポイントです。これで低遅延なコーデックに対応したら同価格帯では敵なしでしょう。
もちろん上位機種である「Liberty 2 Pro」ではaptXに対応しています。倍ほどの値段はしますが、遅延が気になる方はそちらを検討してみてください。
まとめ
左右分離型の完全ワイヤレスイヤホンであることを考えると「Soundcore Liberty Neo」は値段・音質のバランスが取れた良い製品だと思います。
特にまだ完全ワイヤレスのイヤホンを使ったことがない、どんな物なのか知りたいという人にはオススメです。
後継機種であるSoundcore Liberty Neo 2は値段据え置きのまま、前機種での改善点をきちんと一掃してくれていますので気になる人は購入してみてください。買うだけの価値はあると思います。