近年、働き方改革の一環で副業を認める企業が増えてきました。一部の企業では副業を推奨しているところもあるようです。そのような事情もあってネットでも副業にまつわる記事や広告が増えています。
そこではよく「儲かる」という言葉が使われるのですが、せっかく時間を費やすのならより多くの利益を上げたいと考えるのが当然。できることならより効率良く報酬を得られる形にしたいと考えるわけです。
しかし多くの記事や広告にあるように本当に「副業は儲かるのか」という点については少し見方を変えて考えてみる必要があります。
基本的に副業は儲かる
貴重な時間を割いて副業に費やせば副業をしない場合と比べてプラスにはなります。もちろん経費なども掛かりますので一概に儲かるとは限りません。マイナスだってあるでしょう。少なくとも時給が発生する仕事であれば間違いなくプラスです。
しかし、人生においては金額的なマイナスさえも貴重な経験となり得るわけです。そこに収支上のプラスが加われば経験的にも経済的にもプラスになる。つまり何もやらないよりはやった方がいい。これだけは間違いないでしょう。
副業で本業の収入を超えることはまずない
いくら副業が儲かるといっても「高報酬が得られる」という話ではありません。早い話それだけの報酬が得られるなら副業じゃなく本業としてやればいいわけです。しかし多くの人はそんなことをしない。それが答えです。
ネットには「副業で月収40万円」「スキマ時間で20万円」といった高額な報酬を謳う広告や記事が溢れています。確かにそれだけの報酬を得るだけの仕事があることは否定しません。この世の中には様々な仕事があるようにその対価も仕事によって様々です。それだけの報酬が得られる副業もこの世にはあるかもしれません。
もし、そんな仕事と出会ったなら「今までの仕事は何だったのか」と思うようになるでしょう。ですがそんな機会はやって来ません。もしあるとすれば副業ではなく転職したときではないでしょうか。副業にそんな出会いを求めるのは間違っています。考え直しましょう。
圧倒的に時間が足りない
まだ副業で一発当てると考えているならWordPressの記事作成やYouTubeの動画作成といったコンテンツ制作をオススメします。というのも副業には時間的な制約が多いからです。
そもそも「副業」と言うからには本業があるわけです。いくら副業を認める企業が出てきたといっても就業時間中に副業ができるわけではありません。基本的には余暇の時間を活用して副業をすることになるでしょう。
そうなると自然と副業に割くことのできる作業時間も定まってきます。週休2日で作業時間8時間と考えれば週16時間。月で64時間といったところでしょうか。出勤日も帰宅後に作業ができるならもっと時間を増やすことも可能です。
仮に平日で2時間・休日で8時間とすると週で26時間。休日の数にもよりますが月で108時間程度です。
先ほど述べた高報酬の広告や記事が本当だとすると時給2000円~4000円程の仕事となりますが、果たして本当にそれだけ稼げるでしょうか。現実的に考えるともう少し作業時間が必要な気がします。
知識も経験も技術も足りない
正社員や派遣社員の中には時給2000~4000円、場合によってはもっと高い水準で稼いでる人もいるかもしれません。しかし、その報酬の裏付けとなっている根底の部分にあるのは知識や経験、技術ではないでしょうか。
少し別の角度から見てみましょう。世の中で高報酬と言われている職業の代表的なものとして挙げられるのが医者や弁護士など資格を持っている職業です。彼らは一般的な人間が持ち合わせていない高度な知識を有し、その技術によって他者の人生を左右するような重大な責任を負って仕事を遂行しています。
簡潔に言えば、それだけの技能を有しているからこそ高い報酬を得ている人間ということです。
先述した「副業で本業の収入を超えることができない」理由はこの点が大きいのです。もちろん時間的な制約はあります。ですがそれ以上に高報酬を得る条件として必要な知識や経験、技術といった技能が欠けているのです。
自分の得意分野であるはずの本業ですら得られているのは現在の報酬分だけです。副業でそれを超えるには本業以上の知識や技術が求められることになってくるでしょう。
本業や趣味を副業にすればいい
高い報酬を得るために知識や技術を問われるなら自分の得意分野を攻めればいい。これはいい考えです。特に趣味の分野では自分自身も楽しみながら仕事ができる一石二鳥の考えです。実際に趣味を副業としている人たちも多くいます。考え方としては間違っていません。
しかし、この記事を読んでいる方はやはり「儲かる」という部分が気になるはずです。
もし時間的な制約がありながら、本業や趣味を副業にして高い報酬が得られるなら副業である必要はありません。一刻も早く副業に専念すべきです。それを本業とすべきなのです。
休日の1日や2日を消化するだけで本業の収入を超えられるならこんなに効率のいい稼ぎ方はありません。週休5日も夢ではないでしょう。5日も働けばすぐにでも豪邸を建てられるかもしれません。
ならばさっさと本業を辞めて副業一本に絞った方がいいです。乗り換えてしまった方が経済的にも精神的にも楽になれるでしょう。もうさっさと本業を辞めて乗り換えてしまった方がいいと思いませんか?
それにもかかわらず多くの人たちはなぜか週5日も働いている。不思議で仕方ありませんよね。とても不可解な現象です。
これは個人的な意見ですが、おそらくそんな働き方は存在しないのです。
儲かりそうな言葉の数々は単なる宣伝文句
広告や記事というものは人の目に付くことで利益に繋がる商品です。儲からない副業の話をしたところで誰も興味を持ちません。広告を作るだけ無駄、記事を書くだけ無駄なのです。
しかし「副業は儲かる」という話にすると興味を持つ人が出てくるのです。経済的に豊かになればできることが増えます。生活だって変わります。そんな可能性が少しでもあるなら見てみたいと思ってしまうものなのです。
その先で辿り着くことが多いのはクラウドソーシング系のサイトではないでしょうか。確かに高度な技能を持つ人間に対しては高い報酬を提示するクライアントもいます。その実績があるから広告にも記載されています。間違いや嘘だらけではありません。
でもだからといって何の知識も経験も持たない人間にそれと同じだけの報酬を出すことができるでしょうか。積み上げていけばいつかは得られるかもしれません。ですがそれは今ではありません。だってまだ積み上げてもいないのですから。
登録しても単価は安い
「広告を見てとりあえず登録だけしてみた」という人もいるでしょう。実際にサイトを見てどうだったでしょうか?クラウドソーシング系のサイトでよく見かけるのは「データ入力」「テープ起こし」「記事のライティング」あたりでしょうか。特に能力を必要とせず誰にでもできることで人気があったりします。
しかし広告に載っていた金額とは大きく異なり1件当たりの単価はかなり低いです。1件数円、1文字0.5円なんてザラです。比較的まともなものでも1件十数円、1文字1円くらいでしょう。何時間やれば儲かるんでしょうか。バイトして時給で貰った方が得ではありませんか?
結局のところ能力があれば高報酬、無能力なら低単価。本業だろうが副業だろうが関係ありません。社会ってこういうものです。どんな環境だろうと厳しいものは厳しいんです。
別にクラウドソーシングだからってわけではありません。ポスティングやデリバリーも単価で見たら大して変わりません。この中で言えば比較的デリバリーは単価が高い部類かもしれませんが、記事を書く速度に自信があるならライティングの方がオススメです。
報酬の高さは技術の高さ
クラウドソーシングに限らずですが、高報酬となればプロいますしフリーランスもいます。独立・起業できるレベルかもう既にしている人たちです。そもそもそれだけの条件を提示してくるということは副業程度の人間を狙ってはいません。作業時間や納期を考えると手が出ないでしょう。
サイトとして依頼実績があることとオファーが来ることは全くの別物です。確かに実績があれば不可能ではありませんし、実際にそういうクライアントもいます。ですがオファーが飛んでくることはありません。
まずは積み上げていくことが大切です。儲からずとも経験を積み重ねていくことでスキルアップを図ったり、実績を増やすことでオファーを受けるきっかけを作ったりすることも重要なのです。
少しでも副業に興味があるなら行動あるのみ。さっそく知識や技術を増やすため勉強を始める、副業を始めて色々経験を積んでみるなど、とにかくやってみることがいいのではないでしょうか。そこから学べることも多いはずです。
詐欺に繋がる怪しい広告に注意
ここまで読んできた方にはもうお分かりかと思いますが手軽に高報酬を得ることはできません。能力を必要とせずにお金がたくさん稼げるならみんなやっています。広告や記事を出すより先に親族揃って同じ仕事をしているはずです。
それがなぜか広告や記事という形で拡散されている。つまりは「身近な人間を巻き込むことができない」という条件が付されているということです。もっと言えば「誰でもいい」というのは「人柱になれる」と同義です。
万が一、何かあった時でもトカゲの尻尾切りができる。そういう人材を募集しているのです。ハイリスクハイリターンだと思っても手を出すのはオススメしません。ネットで募集かけていればまず足が付きます。やめましょう。